屋根をリフォームするにあたって、「カバー工法」という工事方法があります。
ストレート屋根などにリフォームする際の工事で、今ある屋根の上に防水シート(ルーフィング)と新しい屋根を被せる施行方法です。
カバー工法とは
古い屋根や外壁の上から新しいものを被せるため、解体作業を必要としません。
古い屋根を処分し下地からすべて新しくする訳ではないので、短期間でリフォームすることができます。
ストレート屋根や軽量金属屋根などのような、平板の屋根材の上から施工可能です。
主に、ストレート屋根の上にガリバリウム鋼板屋根を重ねるケースが多いです。
(その他アスファルトシングルやジンカリウム)新しく重ねる屋根材には、耐震強度が弱まらないように軽量なものを採用します。
しかし、屋根の劣化状況によっては施工できません。
屋根の傷みが酷くなければ施工可能ですがもし雨漏りをした経験があれば、下地(野地板)が傷んでいる可能性があり被せることはできません。
そして、既存の屋根材撤去を省略できるためコストを抑えることができるのがメリットです。
リフォーム代に対して、金額重視の方にはおすすめです。
カバー工法後の耐用年数は約20~25年で、メンテナンス頻度は約10年に1回程度が目安です。
メリット
リフォーム代が安い(総作業費を安くできる)
屋根カバー工法は今の屋根材を残して施工するので、屋根材の撤去・廃材処分などの費用がかかりません。
リフォームの工事期間が短くすむ(工期中も普段と同じように生活ができる)
屋根の大きさにもよりますが、解体や撤去の必要がないので工事期間が短くすむ場合があります。リフォームする期間が短いということは、リフォーム費用を抑えることになります。
【工事内容】既存の屋根の上から新しいルーフィングと屋根材を張る
【費用相場】約80~140万円
【工期】約5日間
解体作業がないので廃材がでない(アスベスト問題がない)
今は禁止されている原料「アスベスト」を含む屋根を撤去し処分する場合、約20~50万ほど追加費用がかかります。
作業中にアスベストの粉塵を抑える特殊な対策が必要となってくるので、どうしても高額になるのです。
アスベストを含んだストレート屋根材の処分費用は、アスベストを含まないストレート屋根材に比べると約3~4倍も高くなります。
その他に石綿飛散防止のため養生の費用がかかるため、カバー工法をすすめるリフォーム屋さんは多いでしょう。
※アスベストは人体に有害とされ、石綿を1%以上含む製品の出荷は禁止となった。
断熱・遮音・防水性がよくなる
断熱性のある新しい屋根材を使用すれば、屋根の断熱効果が高まります。
古い屋根の上に新しい屋根を被せることで屋根が二重構造になるので、防音性や防水性も高まるメリットがあります。
デメリット
下地が傷んでいた場合、気づくことができないリスクがある。
屋根の下地となる野地板が腐食しているのにもかかわらず、カバー工法を行ってしまうと耐震性が下がり大変危険です。
カバー工法を行うと、屋根の重量が増えて家の重心が高くなることで耐震性は低下するのです。
雨漏りの経験がある場合、下地が劣化している可能性が高いので「葺き替え工事」が必要。
「葺き替え工事」とは古い部分を完全に解体し撤去を行い、新しい屋根を下地から作る工事のことです。
屋根の下地や内部が劣化していたら、新しい屋根を被せるだけでは大変危険なのでカバー工法ではなく葺き替え工事をおすすめします。
屋根全体の重量が増えるので、耐震性能が少々低下する。
カバー工法を行うにあたって家の重量が増加してしまわないよう軽量な屋根材を選ぶ必要があるため、使用できる屋根材が限られてしまうといったデメリットがあります。
工事を行う際は、事前に使用できる屋根材について把握することが大切です。
以後の修理、リフォーム代が高くなる。
一度カバー工法を行ったあとに、再度屋根工事をしなければならなくなった場合には修理やリフォーム代は通常よりも高くなってしまいます。
なぜなら、カバー工法を行った屋根というのは当初建てたときの屋根よりも一層多く重なった状態です。
なので、二重となった屋根材を剥がす手間が加わるので手間もかかりますし、費用もかさむことになるからです。
修繕費に火災保険を活用したい場合、申請できない可能性が高い。
※火災保険の対象は「雷や強風の被害に合わなかった場合の状態へ戻す」ための工事。
葺き替え工事は火災保険を利用して工事を行えますが、カバー工法となると火災保険が許可されることはありません。
新しい層が増えるカバー工法は、元に戻す工事ではないため原則として保険金を受け取ることができません。
カバー工法に適した屋根
費用の安さを重視していて、屋根の傷みが酷くなく下地(野地板)も傷んでいない。
元の屋根にアスベストが使われていて、10~15年以内に家を転居・解体予定がある。
カバー工法できない屋根
すでに一度カバー工法で施工した経験がある。
元の屋根の損傷が激しい(雨漏り経験がある)。地震でよく揺れる。
将来増改築する可能性がある。
瓦屋根や古いトタン屋根、劣化の激しいコロニアルの屋根。
リフォームなどで屋根修理をご検討の際に、ご自宅の屋根がカバー工法に向いているのか、あるいは葺き替え工事が必要なのかは読んでいただいても判断が難しいと思います。
なかには、カバー工法ばかり進めてきてあまり顧客のことを考えずずさんな工事を行う業者もいます。
業者にとっては、葺き替え工事よりカバー工法のほうが施工の回転率をあげられるといったメリットがあります。
決して金額だけで決めず、いくつかの業者にみてもらい判断していただければと思います。
ご自身で判断するのは難しいですよね、ぜひお気軽にご相談ください!
お問い合わせ:立花工業株式会社 ☎080-7404-0035